消滅時効の中断

借金の時効中断

「時効の起算点」から1年、2年……と時間が経過しても、ある行為があると、それが一旦リセットされてしまい、またリセットされた時点から数え始めなければならなくなる場合があります。これを「時効の中断」と言います。この時効が中断してしまう行為は民法に規定されています。

例えば、最後の返済から4年が経過していたとしても、時効が中断してしまった場合、時効期間は再びゼロからスタートします。

時効が中断する行為

消滅時効の中断にあたる行為は、①請求、②差押え・仮差押え又は仮処分、③承認です。

①請求

時効が中断する請求とは、あくまで「裁判上の請求」です。
単に貸し手から電話や催告書で請求を受けただけであれば、時効が中断することはありません。

借金の消滅時効で代表的な裁判上の請求とは、貸し手からの「訴訟」と「支払督促」の2つです。

この2つが確定した場合、中断した時効期間が再び進行を開始するのは、確定した時からです。また、時効期間は10年に伸びます。

これら裁判上の請求は、途中で取下げられた場合には、時効中断の効力がなくなります。

※裁判外の請求による時効の停止

裁判外の請求では時効は中断しませんが、裁判外の請求が配達証明付きの内容証明郵便で行われた場合「時効の停止」の効果があります。
「時効の停止」とは、6ヶ月間、時効の完成が停止するというものです。

ただし、この「時効の停止」は、時効の完成を6ヶ月遅らせるだけなので、その間に裁判上の請求をしないと6ヶ月後に消滅時効が完成してしまいます。

貸金業者から時効完成直前に内容証明郵便が来て、その後、6ヶ月内に訴訟の提起がされた場合、やはり時効は中断したこととなり、時効の主張ができないということになります。

※裁判上の和解・調停も同様の効力

裁判上の調停や和解が成立した場合も時効は中断し、新たな時効は10年に延長されます。

(まとめ)

よって、裁判上の請求の確定や和解もしくは調停が成立すれば時効は中断し、そこから10年が経過すれば消滅時効が完成します。

実務上も、貸し手が過去に判決を取ったものの、その後も債務者が1度も返済せずに10年以上経過した事案で、消滅時効を援用できることがあります。

②差押え・仮差押え又は仮処分

貸し手が借り手の財産に対して、差押え・仮差押え又は仮処分を行った場合には、時効が中断します。
たとえば、住宅ローンが滞納となったときに、住宅ローン債権者である銀行が住宅の競売を行った場合、不動産が差し押さえられることとなりますので、競売申立ての時点で住宅ローンの消滅時効が中断します。
ただし、競売申立てが取り下げられた場合、時効中断の効果は申立ての時に遡って消滅します。

③債務の承認

債務の承認とは、「借金があることを認めること」です。その時点で時効は中断し、時効期間はリセットされ、また承認の時点から5年が経過しないと、時効の援用はできないということになります。
また、注意しなければいけないのは、「返済」は債務承認にあたるということです。
借金があることを認めたからこそ返済をするのですから、一部でも返済をすれば全部の債務を承認したことになり、時効は中断してしまいます。
同様に、支払いを猶予してくれるように申し入れたりすることも承認に当たります。具体的に言うと、支払延期願いなどの書面を送付したり、貸し手に対して「もう少し待ってください」などと支払猶予のお願いをすることです。

これ以外にも借金を支払う前提で減額交渉や分割払いの交渉をした場合なども承認に該当します。

※時効が完成した後の債務承認
消滅時効期間が経過した後に債務承認をすると、もう時効期間が経過している以上、時効中断ということにはならないのですが、時効援用権を喪失する(時効の援用はできない)こととなります。
貸し手は時効期間経過後であっても、借り手の無知に乗じて、催告書などで請求をしてくることがあり、この誘いに乗ってしまって上述した債務承認に当たる言動を行ってしまうと、時効援用権を喪失してしまうので注意が必要です。

ただし、事案によっては、貸し手からの時効援用権喪失の主張が認められない場合もあり、時効期間経過後に承認行為をしたからといって、一律に時効援用権が喪失するというわけではないので、あきらめずに一度ご相談いただくことをお勧めします。

(まとめ)

時効中断事由の中でも承認に関しては判断が難しい場合もあり、裁判で争われるような微妙なケースもあるので、まずはご相談ください。